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TPE射出成形で発生しやすい不具合5選|フローマーク・離形不良・ウエルドライン・バリ・シルバーの原因と対策【材料メーカー監修】

熱可塑性エラストマー(TPE)の射出成形で起きやすいフローマーク・離形不良・ウェルドライン・バリ・シルバーの原因と対策を解説。材料からの改善方法を素材メーカーの技術部門監修のもと、専門的に解説します。

熱可塑性エラストマー(TPE)と成形時の課題

熱可塑性エラストマー(TPE)は、ゴムのような柔軟性・弾性と、熱可塑性プラスチックのような成形加工性を兼ね備えた材料です。一般的な射出成形機や押出成形機で加工できるため、生産性の向上、工程の簡素化、軽量化、リサイクル性への配慮など、さまざまな製品設計に活用されています。

一方、TPEの射出成形では、材料の柔軟性、流動特性、固化挙動などにより、汎用プラスチックとは異なる成形課題が生じる場合があります。ここでは、代表的な成形不良と、成形条件および材料選定の観点から考えられる改善のポイントを紹介します。

不具合と改善アプローチの概要一覧

不具合

代表的な要因

成形条件・金型での対応

材料からの対応

フローマーク

流動性不足、流動先端の不安定化

樹脂温度、射出速度、金型温度を調整

高流動、流動先端の安定性に配慮した材料

離形不良

柔軟性、冷却不足、金型表面状態

温度低減、冷却延長、表面処理

離形性に配慮した材料

ウェルドライン

ガス、温度・速度条件、ベント不足

温度・計量条件の適正化、ベント追加

ガス発生やウェルド外観に配慮した材料

バリ

射出圧力、過剰流動、固化不足、金型隙間

圧力・温度・保圧の見直し、金型点検

流動性とバリ抑制のバランスを考慮

シルバー

吸湿、結露、揮発成分

事前乾燥、保管・搬送条件の管理

材料ごとの乾燥条件を確認

実際の最適条件は、材料の種類・グレード、製品形状、金型構造、成形機などにより異なります。各製品の推奨成形条件は、製品カタログをご確認いただくか、当社窓口へお問い合わせください。

フローマークとは?原因と対策

Flow mark, Injection Defects

発生現象

成形品表面に、レコード盤状や縞状の流れ跡が現れる現象です。外観要求の高い製品では、意匠性に影響する場合があります。

主な発生要因

·       材料の流動性が不足している

·       流動先端(フローフロント)の樹脂の折り返し流れ(ファウンテンフローが不均一になっている

·       製品形状、ゲート設計、成形条件と材料特性が適合していない

一般的な改善方法

·       流動性不足が主因の場合は、樹脂温度、射出速度または金型温度を適正な範囲で上げる

·       流動先端(フローフロント)の不安定性が主因の場合は、射出速度を段階的に調整する

·       過度な低粘度化が流動を不安定にしている場合は、樹脂温度を下げる方向も検討する

離形不良はなぜ起きる?原因と対策

発生現象

成形品が金型から取り出しにくい、突き出し時に変形する、または金型面に貼り付く現象です。

主な発生要因

·       TPEは一般的な硬質プラスチックより柔軟で、製品形状によっては離形抵抗が大きくなる

·       樹脂温度または金型温度が高い

·       冷却時間が短く、成形品の固化が不十分である

·       金型表面の状態に影響される。特に鏡面では接触面積が大きく、離形しにくい場合がある

一般的な改善方法

·       樹脂温度および金型温度を適正な範囲で下げる

·       冷却時間を延長し、取り出し時の成形品剛性を確保する

·       金型表面へのシボ加工やブラスト処理などにより、樹脂との実接触面積を低減する

·       抜き勾配、アンダーカット、突き出し位置などの金型・製品設計を確認する

ウェルドラインとは?原因と対策

発生現象

分岐した樹脂流動が合流する部分に、線状の外観不良や強度低下が生じる現象です。

主な発生要因

·       流動合流部で樹脂温度が低下し、十分に接合しない

·       材料や成形条件によって発生したガスが合流部に滞留する

·       樹脂温度が高すぎ、揮発成分や分解ガスが増加する

·       射出速度が速すぎ、ガスの排出が間に合わない、またはガスを巻き込む

·       計量時のせん断発熱により樹脂温度が上昇する

一般的な改善方法

·       樹脂温度を適正化し、過熱が疑われる場合は下げる

·       金型温度を上げ、合流時の樹脂温度低下を抑える

·       ガスベント(金型内の空気を逃すための排気溝を設置または追加し、排気経路を確保する

·       射出速度を調整し、ガス排出とのバランスを取る

·       スクリュー回転速度を下げ、適度な背圧(計量時に樹脂へかける圧力) を設定して計量を安定させる

バリ(Flush)が出る原因と対策

発生現象

金型のパーティング面、スライド部、突き出しピン周辺などから樹脂が漏れ、薄い膜状の余剰部分が生じる現象です。

主な発生要因

·       射出圧力または保圧が高く、型締め力や金型のシール能力を上回っている

·       材料の流動性が高すぎる、または樹脂温度が高い

·       TPEの固化が十分でない状態で高い圧力が加わる

·       金型の摩耗、変形、異物のかみ込みなどにより隙間が生じている

·       ゲート付近では、流動抵抗の増大により局所的な圧力が高くなっている

一般的な改善方法

·       射出圧力の上限、射出速度、V-P切替位置(充填から保圧へ切り替わる位置)[mj1] および保圧条件を見直す

·       樹脂温度を適正な範囲で下げる

·       型締め力と金型の状態を確認する

·       ゲート、ランナー、製品肉厚など、流動抵抗に関係する設計要因を確認する

シルバー(シルバーストリーク)の原因と対策

Silver Streaks, Injcetion Defects

発生現象

成形品表面に、銀白色の筋状模様が現れる現象です。水分や揮発成分が流動中に気化し、表面に引き伸ばされることで発生する場合があります。

主な発生要因

·       材料が保管中に吸湿している

·       低温環境から材料を移動した際、温度差によって結露が生じている

·       材料、着色剤、添加剤などに水分または揮発成分が含まれている

·       樹脂の過熱や滞留によりガスが発生している

一般的な改善方法

·       材料ごとの推奨条件に従い、成形前乾燥を行う

·       開封後の材料管理、保管場所、輸送時の温度差を見直す

·       ホッパードライヤーなどを活用し、成形機投入後の再吸湿を抑える

·       シリンダー温度、滞留時間、パージ条件を確認する

TPEの成形前の乾燥条件

TPOTPSおよびTPV(部分架橋タイプ)は、一般的に乾燥を必要としません。

下記は弊社材料の標準的な乾燥条件です。各社の推奨条件を確認することが重要です。また保管状況によっても必要な乾燥時間などの条件は異なるため、目安としてください。

材料例

乾燥温度の目安

乾燥時間の目安

TPV(完全架橋タイプ)

80~100℃

2~3時間

TPC

70~110℃

2~5時間

よくある質問(FAQ)

Q1. TPEの射出成形で最も多い不良は何ですか?

製品形状や用途により異なりますが、外観要求の高い製品ではフローマークやウェルドライン、柔軟な形状ではバリや離形不良が比較的多く見られます。

Q2. フローマークとウェルドラインの違いは何ですか?

フローマークは単一の流動先端が不安定になることで生じる縞状の跡、ウェルドラインは分岐した2つ以上の流動が合流する部分に生じる線状の不良という点が異なります。

Q3. TPEは乾燥せずに成形できますか?

材料やグレードにより異なります。TPV(完全架橋タイプ)やTPCなど吸湿性のある材料は、成形前乾燥が推奨される場合が多く、各製品カタログの推奨条件を確認する必要があります。

Q4. 成形不良の原因が分からない場合はどうすればよいですか?

外観の形態、発生位置、充填挙動を確認し、成形条件・金型・材料のどこに起因するかを特定することが重要です。当社では材料・金型・成形条件の各観点から原因分析を行い改善提案をサポートしています。

Q5. TPEのバリを抑えつつ、充填不足も避けるにはどうすればよいですか?

まずは射出圧力や保圧、樹脂温度などの成形条件を見直します。そのうえで、充填不足を防ぎながらバリを抑えられる材料を選定することが有効です。

当社の技術サポート

成形不良は、材料特性だけでなく、製品設計、金型設計、成形機、成形条件が相互に影響して発生します。当社では、お客様の用途や要求特性を確認し、材料選定と成形条件の両面から課題解決を支援します。

·       用途・要求特性に応じた材料選定

·       成形条件の最適化に関する技術相談

·       成形不良の原因分析と改善提案

·       試作評価およびグレード提案

三上 純也
三上 純也
所属: General Manager TPE Laboratory CPD Technoligy【Japan】Center Polymer Compounds Technology Development Dept. 経歴: 自動車分野を中心に20年以上にわたり熱可塑性エラストマー(TPE)の研究開発に従事。ポリマー設計からコンパウンド開発、成形加工、用途評価まで一貫した開発経験を有する

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上記内容は、作成日時点で利用可能な最新の情報に基づいて作成されたものであり、今後新たな情報に基づいて改定する場合があります。

また、一般的な技術情報および参考情報として提供するものであり、記載内容の正確性・完全性について保証するものではありません。

製品の性能や特性は使用条件・加工条件等により異なる場合があります。最終的な適用可否や設計判断はお客様ご自身の責任にてご判断ください。

化学品の輸出には各国のレギュレーションを確認の上、提供可否を回答します。輸出国などの情報は必ずご記載ください。

製品によっては別グレードの提案、もしくは提供ができない場合もございますのでご了承ください。

三菱ケミカル株式会社

三菱ケミカル株式会社
ポリマーコンパウンズビジネスグループ 日本本部

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