
有効成分の濃度減少を防ぐ容器設計へ―製品の処方自由度を高める低吸着容器素材「Zelas™CP」
近年の美容・ヘルスケア分野では、ブランドイメージや知名度よりもどのような成分が配合されているかに着目して製品を選ぶ、いわゆる「成分買い」の傾向が強まっており、有効成分の品質維持は製品価値を左右する重要な要素となっています。一方で見落とされがちなのが、容器材料による成分吸着や劣化といったパッケージ起因の問題です。処方設計だけでは解決しきれないこれらの課題に対し、容器側からアプローチすることが開発成功の鍵を握ります。本記事では、有効成分減少のメカニズムとその対策、そして新たな解決策として注目される樹脂材料をご紹介します。
目次[非表示]
- 1.こんなお悩みありませんか?
- 2.有効成分濃度減少の原因と対策
- 2.1.有効成分濃度減少の原因
- 2.2.容器材料へ吸着しやすい成分とメカニズム
- 2.3.対策 ― 処方か、容器か
- 3.Zelas™CP(容器材料)の特徴
- 3.1.吸着抑制評価
- 3.2.低比重、低透湿性
- 3.3.ポリオレフィンとの融着性
- 3.4.優れたヒートシール性
- 3.5.高透明グレードでプレミアム外観を実現
- 3.6.安心の医療グレード
- 4.Zelas™CPが使用できる用途例
- 5.ご興味をお持ちの方へ
こんなお悩みありませんか?
各種医薬品やトイレタリー用品、化粧品の開発において、保存後中に有効成分が減少し、安定性試験で承認基準を満たさないという課題は少なくありません。
特に医薬品では、厚生労働省医薬局審査管理課長通知(医薬審発第568号)には製剤における含量規格値が明記されており、有効成分の含量規格が規格内に収まらないケースが問題化します。1)
処方設計や容器選定の段階で、成分減少のメカニズムを理解し、適切な対策を講じることが求められます。
有効成分濃度減少の原因と対策
有効成分濃度減少の原因
- 化学的変性:酸化、加水分解、光分解などによる成分の分解。
- 容器材料への吸着:油性または界面活性成分が樹脂材料に移行し、濃度が減少する。
- 他成分との相互作用:金属イオンや界面活性剤によるキレート形成、酸化促進。
特に容器由来の吸着は処方検討時に見落とされがちですが、安定性試験で顕在化することが多く、後工程での対処が難しい課題です。
容器材料へ吸着しやすい成分とメカニズム
容器材料への吸着が問題になるのは、主に脂溶性の高い油性成分です。 2)
これらは、容器材料の主成分であるポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)と疎水性相互作用することで吸着し、樹脂内部に拡散・浸透していきます。
対策 ― 処方か、容器か
有効成分濃度減少への対策には、主に2つのアプローチがあります。
処方側の工夫:抗酸化剤の配合、界面活性剤量の最適化、pH緩衝などによる安定化。
容器材料の改良:成分吸着を抑える樹脂を最内層に採用。
特に後者、すなわち容器素材の見直しは、処方を変えずに安定性を改善できるため、処方自由度の増大(他社との差別化)や開発工程の短縮にも有効です。
Zelas™CP(容器材料)の特徴
このような課題に対し、当社が開発したZelas™CPは、有効成分の吸着を抑えながらヒートシール性・他材との融着性・外観性・衛生性をバランス良く兼ね備えた次世代樹脂です。
吸着抑制評価
油性成分の一例としてトコフェロール酢酸エステル(ビタミンE)を有効成分として吸着挙動を評価した結果、Zelas™CPはPEと比べて高い有効成分残存率を示しました。
Zelas™CPは、有効成分が浸透しにくい構造を持った樹脂を複数組み合わせることで、吸着性が抑制されています。
低比重、低透湿性
Zelas™CPは、ポリオレフィン(PE・PP)並みの低比重と低透湿性を有します。PETやPS(ポリスチレン)と比べて軽く、また製品の内容物変質や保存中の蒸散リスクを低減できるため、容器軽量化と内容安定性の両立が可能です。
ポリオレフィンとの融着性
Zelas™CP は、ポリオレフィン(PE・PP)と高い融着性を持つことから、多層ブロー成形や多層共押出による容器設計が可能です。接液層(最内層)としてZelas™CPを配置し、外層は機械強度や外観を調整のために既存のポリオレフィン(PE・PP) といった設計自由度を確保できるため、既存ラインでの導入もしやすく、コスト効率に優れた改良手段となります。
優れたヒートシール性
フィルム向けグレードXLCP201(開発品)は、Zelas™CP同士の熱融着性にも優れているため、PETでは難しかったパウチ包装、ラミネートチューブといった多様な形態に展開可能です。
高透明グレードでプレミアム外観を実現
ブロー成形グレードのCP208は非常に高い透明性を持ち、ガラスライクな外観を演出できます。透明パッケージでありながら、有効成分を守る機能性を両立できます。
安心の医療グレード
Zelas™CPは元々、医薬品包装容器材料として豊富な実績を積み重ねてきました。医療分野で培った高い衛生性や薬剤低吸着の確かな技術を、化粧品分野にもお届けしてまいります。
Zelas™CPが使用できる用途例
- 化粧品・パーソナルケア
化粧水、乳液、美容液、フェイスパック、日焼け止め、ヘアスタイリング剤、シャンプー・コンディショナー、ボディソープ、プロフェッショナル用サロン商材、ドクターズコスメなどの各種容器・(詰替)パウチ・チューブ。 - トイレタリー・日用品
ハンドソープ、ボディローション、マウスウォッシュ、洗浄剤・除菌剤、洗剤・柔軟剤などのボトル・詰め替えパウチ・サシェ。 - 医薬部外品・OTC医薬品・医薬品
外用液剤、軟膏・クリーム、点眼、うがい薬、口腔ケア製剤、スキンケア医薬部外品などのボトル、パウチ、ラミネートチューブ。 - その他の機能性液剤・工業用途
虫よけ製品、機能性フレグランス、特定成分の安定性が重要な工業用液剤の容器全般(ボトル、多層容器、チューブ、一次包装材など)。
ご興味をお持ちの方へ
「有効成分の減少を防ぎたい」、「処方を変えずに安定性試験をクリアできる容器を探している」、「既存PE容器の吸着トラブルを解決したい」そんなことにお困りの方は、ぜひ一度Zelas™CPの評価をご検討ください。
詳細な技術データや吸着評価結果、多層容器設計のサポートもご用意しております。
お問い合わせは、以下フォームまでお気軽にどうぞ。
参考文献
1)厚生労働省医薬局審査管理課長.「新医薬品の規格及び試験方法の設定について」医薬審発第568号,平成13年5月1日.PMDA(医薬品医療機器総合機構)公開資料.https://www.pmda.go.jp/files/000156301.pdf
2) 特開平10-85304, 「脂溶性ビタミン類の容器収着及び収着を防止する方法」, 公開特許公報, 1998年4月7日.


