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食品接触材料の最新規制動向と材料選定ポイント

食品接触材料の規制は各国で厳格化が進んでおり、食品包装や食品接触用途における材料選定では、機能性だけでなく各市場の法規制への適合確認も重要になっています。さらに、要求される機能(バリア性、柔軟性、耐熱性など)や使用条件に応じて材料を適切に選定することが求められます。三菱ケミカルでは、食品接触用途に向けて、Tefabloc™、Modic™、NOVADURAN™を中心に、それぞれの用途や構造に応じた材料提案を行っています。

食品接触材料の規制強化の背景と各国動向

食品接触材料の規制は、世界的に厳格化が進んでいます。各国で制度整備や運用の見直しが進み、材料の適合確認に求められる要件も年々高度化しています。

日本では2025年6月1日に食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度が完全施行され、基材ポリマーはモノマー単位、添加剤は物質ごとに収載状況を確認する必要があります。最終製品の製造者は、使用する材料が制度上適合しているかを、自ら責任を持って判断します。

一方で、日本以外でも規制強化の動きが続いており、

欧州では(EU) 10/2011の修正令(EU) 2025/351によるプラスチック規則の運用厳格化

中国ではGB規格の大規模更新が進んでいます

こうした規制環境の変化を背景に、食品接触材料は単に「使用可能かどうか」だけでなく、

「どの市場(地域)で、どの条件で使用できるか」を踏まえた判断が必要不可欠となっています。

各国食品接触規制の現状比較とポイント

食品接触材料の規制は国ごとに制度設計が異なりますが、いずれの地域においても、物質単位での適合確認と最終製品としての評価が重要です。以下に、日本、米国、欧州、中国の基本的な考え方を整理します。

表1 食品接触材料規制動向(日本、中国、欧州、米国FDA)

日本:国のポジティブリスト制定とJCII自主基準

日本では、2025年6月1日に食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度が完全施行されました。

基材ポリマーはモノマー単位、添加剤は物質ごとに収載状況を確認する必要があります。最終製品の製造者は、使用する材料が制度上適合しているかを、自ら責任を持って判断します。

また、JCII(食品接触材料安全センター)は、国の制度が整備される前から業界の自主基準に基づくポジティブリストを運用してきました。

自主基準に適合する場合は確認証明書を発行しており、現在も日本国内で食品接触材料の適合性を判断する上で有効な手段の一つとなっています。

米国:FDAによる規制

米国では、食品接触材料に関するポジティブリストはFDA(Food and Drug Administration)の管轄下にあり、Title 21 CFRで体系的に定められています。食品接触物質の規制は、主に食品添加物に関するPart 170〜189で管理されています。

また、米国では使用条件の考え方が細かく、温度や用途区分などを組み合わせて適合性を判断する必要があります。

既存のCFR収載だけでは対応できない物質については、FCN(Food Contact Notification)制度を通じてFDAに安全性データを提出し、個別に使用の妥当性を確認します。

近年はこの安全性評価の要求も厳格化しており、事前確認の重要性が高まっています。

 

欧州(EU):適合宣言書(DoC)と移行試験の必要性

欧州では、食品接触プラスチックのポジティブリスト(Union List)がRegulation (EU) 10/2011で定義されています。

Union Listに収載されていない物質は原則として使用できませんが、NIAS(Non-Intentionally Added Substances:非意図的添加物)、不純物、反応生成物については、個別の安全性評価を前提に取り扱われます。

適合宣言書(Declaration of Compliance:DoC)の作成責任は最終製品の製造者にあり、原料メーカーはSML(特定移行量制限)やQM(含有量制限)など、DoC作成に必要な情報を提供する必要があります。

また、欧州では移行試験が重要な判断材料となります。最終製品の製造者が試験結果を踏まえて適合性を確認します。

さらに、 (EU) 10/2011の修正令(EU) 2025/351により、再生プラスチックの管理やリサイクル材を含む製品の適合確認条件がより明確化されており、最新の要件を踏まえた対応が求められます。

 

中国:国家標準による規制

中国では、食品接触材料に関するポジティブリストがGB4806およびGB9685で定義されています。

このうちプラスチックについては、GB4806.7において材料および製品が規定されており、使用される添加剤はGB9685に基づいて管理されています。

添加剤には基材ごとの使用量制限があり、物質ごとのSMLも設定されています。

2025年9月には関連国家標準の大規模な更新も進み、食品接触材料の管理枠組みが見直されました。

この更新では、食品接触材料の対象標準や試験・評価の考え方が整理され、材料ごとの確認事項がより明確になっています。中国市場向けでは、最新のGB規格を踏まえて、材料選定とを行うことが重要です。

 

三菱ケミカルの食品接触材料

三菱ケミカルでは、食品接触用途に向けて、用途や構造に応じた複数の樹脂材料を展開しています。

食品包材やその周辺分野では、柔軟性やシール性が求められる部位、多層構造における接着や剥離設計、形状安定性や耐熱性が必要な部材など、用途ごとに求められる特性が大きく異なります。

さらに、各国の食品接触規制への適合も考慮する必要があり、材料選定は機能と規制の両面から検討することが重要です。こうした要求に対し、Tefabloc™、Modic™、NOVADURAN™を中心に、用途に応じた材料選定が可能です。

次に、これらの素材の特徴と用途について説明します。

Modic™の特徴と用途

Modic™は、異なる材料同士をつなぐ接着性樹脂です。

PA、EVOH、PET、異樹脂、金属などとの接着性を付与でき、多層フィルムやラミネート構成で活用されています。また、接着材としてだけでなく、EVOHやPAなどの改質剤として樹脂の耐衝撃性や柔軟性を向上させる用途にも適しており、異なる樹脂間の相分離を抑制する相溶化剤としても機能します。接着だけでなく、材料全体の物性バランスを整える役割を担える点が大きな特長です。

食品包装では、層間密着の確保や異種材料の組み合わせに加え、開封性を設計したい蓋材やシール材でも検討されています。ピーラブルタイプは、滑らかな剥離感ときれいな剥離面を得やすく、広いヒートシール温度域で安定した剥離特性を示します。用途に応じて、PP/PEシリーズ、TPCシリーズ、特殊シリーズ、ピーラブルタイプを使い分けやすい構成です。

食品衛生対応として、日本のポジティブリスト制度に加え、米国FDA、欧州EU(PIM)、中国GB規格に対応したグレードも展開しています。

Tefabloc™の特徴と用途

Tefabloc™は、食品接触用途に対応した熱可塑性エラストマーです。

軟質から高硬度まで幅広いグレードを持ち、柔軟性と剛性のバランスを用途に応じて調整しやすい点が特長です。耐候性・耐熱性に優れ、汎用成形機で加工しやすいことに加え、スプルー・ランナーのリサイクルにも対応しやすく、製造面でも扱いやすい材料です。

食品接触用途では、飲料送液用チューブ・ホース、ボトルキャップ、パッキン、シール材、食品搬送ベルトなどに適用しやすく、衛生性と機能性の両立が求められる用途で検討されています。さらに、キッチンツールやデンタルケア製品など、直接接触が想定される分野にも展開されています。用途に応じて、押出用途向け、射出用途向け、油性食品向けなど、シリーズを使い分けやすい点も魅力です。

食品衛生対応として、日本のポジティブリスト制度に適合したグレードを展開しています。海外向けには米国FDAおよび欧州EU(PIM)に対応したグレードも一部保有しています。

NOVADURAN™の特徴と用途

NOVADURAN™は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂であり、優れた成形性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性を有しています。

耐熱性と寸法安定性を活かし、食品接触用途における機能部材として適した材料です。食品包材分野では、フィルム外層や冷凍・レトルト用途関連部材など、高温条件や寸法安定性が求められる用途に適しています。安定した成形性と耐薬品性により、包装構造の信頼性向上に寄与します。

また、ホモPBTと共重合PBTをラインアップしており、結晶性・柔軟性・靭性のバランスを用途に応じて調整可能です。PETなど既存包装材料との組み合わせやドライブレンドにも対応しやすく、複合構造における設計自由度を高める材料として活用できます。

食品衛生対応として、日本のポジティブリスト制度に適合したグレードを展開しています。

バリア・機能材料/フィルム製品

包装設計においては、酸素やガスの透過抑制、耐熱性、耐薬品性といった機能も重要な検討要素となります。

三菱ケミカルグループでは、こうした機能に対応する材料として、Soarnol™GOHSENOL™などのバリア・機能材料も展開しており、食品包材の機能設計を支えています。

また、包装構造設計においては、材料単体だけでなくフィルム形態での適用を前提とした検討が求められるケースも多くあります。三菱ケミカルグループでは、食品包材用フィルムも複数展開しており、用途や要求特性に応じて、材料とフィルムの両面から検討することが可能です。

導入の際の注意点

・食品接触用途の規制対応には、市場ごとの基準理解と、社内サプライチェーンにおける正確な情報伝達が不可欠です。各国・各地域の食品接触材料規制は頻繁に改定されるため、導入時には必ず最新の公的情報・ガイドラインをご確認ください。

・三菱ケミカルはコンパウンドメーカーとして、各種原料メーカーへの調査を通じて製品の適合状況を確認し、最新の各国規制状況を踏まえた回答やグレード提案を行っています。ただし、規制や解釈は今後も変更される可能性があるため、具体的な規制確認やグレード選定については、その都度、営業担当まで個別にお問い合わせください。

・コンパウンド製品の性質上、配合構成や使用原料の確認には一定のお時間を要する場合があります。各国規制への対応状況の照会・回答にあたっては、事前に十分なリードタイムをいただけますよう、ご理解をお願いいたします。

三菱ケミカルでは、各種食品接触材料に関するサンプル提供・技術相談を承っております。

用途に応じて最適なグレードをご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。

参考URL

・消費者庁「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年6月以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new

・JCII「食品接触材料安全センター」
https://www.jcii.or.jp/pages/65/

・U.S. Government Publishing Office, “Title 21 – Food and Drugs, Vol.3(Parts 170–199 を収載。174–178を含む)”
https://www.govinfo.gov/content/pkg/CFR-2025-title21-vol3/pdf/CFR-2025-title21-vol3.pdf

European Commission, “Commission Regulation (EU) No 10/2011 on plastic materials and articles intended to come into contact with food”
https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2011/10/2026-02-23

・National Health Commission (NHC),“Announcement No.6 of 2025 – National Food Safety Standards”
https://www.nhc.gov.cn/sps/c100088/202509/5dc5e1e2b26d4d27a7913b9e71bbe931.shtml

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また、一般的な技術情報および参考情報として提供するものであり、記載内容の正確性・完全性について保証するものではありません。

製品の性能や特性は使用条件・加工条件等により異なる場合があります。最終的な適用可否や設計判断はお客様ご自身の責任にてご判断ください。

三菱ケミカル株式会社

三菱ケミカル株式会社
ポリマーコンパウンズビジネスグループ 日本本部

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