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イージーピール樹脂:最新規制動向と技術解説

イージーピール樹脂は「開けやすさ」と「密封性」を同時に満たすため、剥離強度レンジやレトルト耐熱、内容物依存の経時安定性など、多変量最適化が必要なエンジニアリング材料です。Modic™ PeelableはPP/PE/マルチ基材向けにX・Y・Zの3タイプを用意し、凝集剥離・界面剥離メカニズムとヒートシール条件(温度・圧力・時間)を軸に、開封感や糸引き、剥離面外観をプロセス側からチューニングできる設計プラットフォームになっています。また、日本・米国FDA・EU・中国GBといった各国食品接触規制への対応グレードやバイオマスグレードを備え、グローバル対応とサステナ要件を前提に包装設計が行える点も、材料選定の立ち上げ段階で、前提条件として押さえておきたいポイントです。

イージーピール樹脂の役割と各国規制

食品包装業界では、消費者の利便性と製品保護の両立が求められています。特に食品容器の蓋材や包装フィルムにおいては、「しっかりと密封できる」と「簡単に開封できる」という相反する性能が必要です。

イージーピール(易剥離)樹は、この課題を解決する機能性材料として、多様な食品包装用途で採用が拡大しています。

ゼリーやプリンカップの蓋材、レトルトカレーやカップ麺の蓋フィルム、ヨーグルト容器など、日常的に目にする食品包装の多くにイージーピール技術が使われています。

イージーピール樹脂に求められる性能

食品包装用イージーピール樹脂には、以下の多面的な性能が要求されます:

適切な剥離強度: 約4~15N/15mm(用途に応じた設計)

密封性: 内容物の保護、液漏れ防止

剥離感: スムーズな開封、ジッピングの抑制

剥離面の美観: 糸引きやエンジェルヘアー(繊維状の剥離残渣)がないこと

耐熱性: レトルト滅菌(121℃)やボイル処理(100℃)への対応

耐内容物性: 油脂による劣化防止、経時変化の抑制

ヒートシール適性: 広い温度範囲での安定したシール性

食品衛生性:各国規制への適合

食品接触する素材の各国規制動向

食品包装用イージーピール樹脂は食品と直接接触するため、各国の制度への対応が必要です。

製造者としても、各国それぞれの規制に対応できる樹脂を使っておきたいところです。

Modic™ Peelableは、日本のみならず、米国FDA、欧州PIM、中国GBに対応したグレードをラインナップしております。

各国の制度概要につきましては下記記事で詳しく解説しておりますのでご参照ください。

食品衛生法の各国規制の解説 ( https://ppd-japan.mcgc.com/blog/tefabloc-food-contact-materials-jp

Modic™ Peelableの製品ラインナップと技術特長

特徴と用途例

Modic™ Peelableは、被着体の種類に応じて最適化された3つのタイプ(X、Y、Z)を提供しています。

●食品容器の蓋材や 食品包材のイージーピールシーラントとして主に使用されます。

●その他、電子包材や医療包材に使用されます。

●容器の蓋材としてだけでなく、フィルム同士のイージーピールシーラントとしての使用も可能です。

●なめらかな剥離感ときれいな剥離面が得られます。

Xタイプ:PP被着体用

ポリプロピレン(PP)容器への蓋材として設計されており、高い耐熱性を特長とし、融点109~142℃の複数グレードを揃えています。レトルト対応品(121℃以上)も提供しています。凝集剥離または界面剥離により、ゼリー、プリン、米飯、カレーなどの用途で、優れた透明性と密封性を実現します。

Yタイプ:PE被着体用

ポリエチレン(PE)容器やPEコート紙容器に最適化されており、滑らかな剥離感が特長です。ボイル対応グレードがあります。フィルム同士の面々シールにも使用可能です。ヨーグルト、インスタント食品、菓子包装のほか、医療包材への展開も可能です。

Zタイプ:マルチ被着体用

PS(ポリスチレン)、PET、PVC、PPなど、あらゆる被着体に対応できる汎用性の高いタイプです。主に界面剥離により、高透明性を実現し、ヨーグルト、飲料容器など視認性が重要な用途に最適です。電子部材のカバーテープなど、食品以外の用途にも展開可能です。

各国規制対応グレードリスト

代表的なグレードについて各国記載対応状況についてまとめております。ここに記載されていないグレードについても対応可能な可能性がありますので、詳しくはお問い合わせください。

🍃バイオマスグレードの開発

持続可能性への関心の高まりに応え、三菱ケミカルはModic™ Peelableのバイオマスグレードを開発中です。

• バイオマス度:40~60%

• バイオプラマーク認証取得を検討中(ご相談ください)

バイオマスプラスチックの採用により、化石資源依存度の低減とカーボンニュートラルへの貢献が期待されます。食品包装業界全体で環境負荷低減が求められる中、Modic™ Peelableのバイオマスグレードは、性能と環境性を両立する選択肢となります。 ご興味のある方は、問い合わせからお願いします。

剥離メカニズムと加工条件

Modic™ Peelableの性能は、剥離形態によって特徴づけられます。

凝集剥離: シーラント層内部で破壊。密封性に優れる。

界面剥離: 被着体との界面で剥離。剥離面がきれい。

ヒートシール条件

剥離強度はヒートシール温度によって調整可能です。弊社では温度140~180℃、圧力0.2~MPa、時間1秒で実施しています。各タイプとも広い温度範囲で対応可能です。詳細な条件は技術資料に記載しています。

成形加工プロセスと層構成

Modic™ Peelableは、インフレーション成形、Tダイキャスト成形、押出ラミネーションなど多様な加工プロセスに対応します。典型的な層構成は、PET基材//ポリオレフィン層/Modic™ Peelable層となります。グレード別の推奨プロセスと詳細な層構成例は技術資料をご参照ください。

導入の際の注意点

・食品接触材料の規制対応には、市場ごとの基準理解と、社内サプライチェーンにおける正確な情報伝達が不可欠です。各国・各地域の食品接触材料規制は頻繁に改定されるため、導入時には必ず最新の公的情報・ガイドラインをご確認ください。

・三菱ケミカルはコンパウンドメーカーとして、各種原料メーカーへの調査を通じて製品の適合状況を確認し、最新の各国規制状況を踏まえた回答やグレード提案を行っています。ただし、規制や解釈は今後も変更される可能性があるため、具体的な規制確認やグレード選定については、その都度、営業担当まで個別にお問い合わせください。

・コンパウンド製品の性質上、配合構成や使用原料の確認には一定のお時間を要する場合があります。各国規制への対応状況の照会・回答にあたっては、事前に十分なリードタイムをいただけますよう、ご理解をお願いいたします。

・本記事の内容は、公開情報および当社が入手した市場・規制情報をもとに作成した一般的な解説であり、特定製品・用途に対する適合性や法令遵守を保証するものではありません。本文に基づくお客様の判断・行為の結果について、当社は一切の責任を負いかねます。実際の適用に際しては、必ず最新の法令・規格・公的ガイドラインをご確認のうえ、自社の責任において評価・判断を行っていただけるようお願い申し上げます。

お問い合わせ・技術サポート

Modic™ Peelableの詳細な技術情報、サンプル提供、用途適性評価については、下記までお問い合わせください。

油性食品等での使用制限、各国規制への対応状況、具体的なグレード選定、ヒートシール条件の最適化など、専門スタッフが技術サポートいたします。

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