
架橋性樹脂とは?機能と用途、そして最適な素材選び
高分子鎖同士が三次元網目構をとることで、耐熱性・耐クリープ性・ゴム弾性などの特性が飛躍的に向上する架橋性樹脂。本記事では、架橋性樹脂の基礎知識から架橋化が求められる用途、そして三菱ケミカルが提供する多彩な架橋性コンパウンドのソリューションまで、幅広くご紹介します。
目次[非表示]
- 1.架橋性樹脂とは
- 2.架橋性樹脂の適用事例
- 2.1.自動車部材
- 2.2.電線・ケーブル被覆材
- 2.3.給水・給湯配管
- 2.4.シール・パッキン部品
- 3.三菱ケミカルの架橋性コンパウンドと、適用事例をご紹介
- 3.1.Trexprene™
- 3.2.Linklon™
- 3.3.Olefista™
- 4.架橋性樹脂をお探しなら
架橋性樹脂とは
架橋性樹脂とは、ポリマー分子鎖間に架橋点を形成させることで、三次元網目構造を持たせた樹脂のことです。架橋反応を経ることで、通常の熱可塑性樹脂では得られない耐熱性、耐クリープ性、耐薬品性、そして優れたゴム弾性(圧縮永久歪特性)が付与されます。架橋方法には、電子線架橋、過酸化物架橋、フェノール樹脂架橋、シラン架橋などがあり、それぞれの方法に応じて最適な用途や特性バランスが異なります。
架橋性樹脂の適用事例
自動車部材
自動車業界では、軽量化と耐熱性の両立が求められています。動的架橋型熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムに比べて軽量なだけでなく、加硫ゴムとは異なり通常の熱可塑性樹脂と同様に成形が可能のため、ポリプロピレンなどの樹脂部品との二色成形や金属部品などとの複合成形にも対応できます。
適用例:防振ゴム、ホースクリップ、シール・パッキン類、耐熱ダクト、エンジンルーム内部品
電線・ケーブル被覆材
電線被覆材としての架橋性樹脂の役割は、耐熱性能の長期耐久性の付与です。特に太陽光発電システム用ケーブルや自動車用ケーブルでは、耐熱性と長期の耐久性が同時に求められるため、架橋化により高い耐熱性と耐久性を実現する必要があります。シラン架橋タイプは、成形後に簡便な水架橋処理で架橋が進行するため、工業化が容易です。
適用例:自動車用ハーネス、太陽光発電用ケーブル、低発煙ケーブル、鉄道車両用ケーブル
給水・給湯配管
給水・給湯配管では、耐熱性と長期の寸法安定性が最重要項目です。シラン架橋樹脂は、高温のお湯が通水する環境でも、樹脂のクリープを最小限に抑え、配管の破損を防ぎます。また、床暖房配管も同様に、高温循環によるクリープの影響を受けないため、架橋化は必須の技術です。
適用例:給水・給湯配管、床暖房用パイプ、チューブ類
シール・パッキン部品
シール部品では、優れた圧縮永久歪み特性が要求されます。架橋により分子鎖が結合されることで、圧縮力を受けた後の復元力が飛躍的に向上し、長期間にわたってシール機能を維持できます。
適用例:シール・パッキン、防振ゴム、クッション材
三菱ケミカルの架橋性コンパウンドと、適用事例をご紹介
Trexprene™
Trexprene™(トレックスプレーン)はオレフィン系樹脂のマトリックスと架橋させたオレフィン系ゴムをブレンドした動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)で、熱可塑性エラストマー(TPE)の一種です。加硫ゴム(EPDM)並みの性能を有しながら、お客様の元での架橋工程が不要で、通常の熱可塑性樹脂と同様に成形できる点が最大のメリットです。リサイクルも可能なため、生産時間・生産コスト・環境負荷の低減に寄与する加硫ゴム代替として用いられています。
①Trexprene™(完全架橋タイプ)
完全架橋タイプ は、デュロ硬度A40~D55程度の幅広い硬度ラインナップを有し、加硫ゴムに匹敵する性能を熱可塑性加工で実現しています。
主な特徴
• 優れた圧縮永久歪み特性(20%~)でシール性に優れる
• 耐熱性110~120℃の環境下でも使用可能
• 耐油性に優れ、油脂類と接触する部品にも好適
成形方法
一般的なポリオレフィンの押出成形機・射出成形機・ブロー成形機での成形
適用用途
• 自動車耐熱部材(エンジンルーム内部品など)
• 防振ゴム
• シール・パッキン類
②Trexprene™(部分架橋タイプ)
部分架橋タイプ は、デュロ硬度A50~90程度の硬度ラインナップを有し、同硬度帯の完全架橋タイプと比べ圧縮永久歪はやや劣るものの、低比重性・成形性・色目に優れています。
主な特徴
• 低比重(0.88~0.89 g/cm³)で製品の軽量化に貢献
• 優れた成形外観により意匠性の高い製品に対応
• 色目に優れ、発色が鮮やかな製品化が可能
成形方法
一般的なポリオレフィン用の押出成形機・射出成形機・ブロー成形機での成形
適用用途
• 自動車外装・内装部材、リップモール
• 各種グリップ類
Linklon™
Linklon™(リンクロン) は、シラン架橋性ポリオレフィン樹脂です。ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)をベースとし、お客様の元で水と接触する環境にて架橋を進行させます。
主な特徴
• 良好な成形性で、ポリオレフィンと同等の成形条件で加工可能
• 温水中や高温多湿雰囲気で架橋が進行し、架橋処理が容易
• 耐熱性・耐クリープ性・形状記憶性に優れる
成形方法
一般的なポリオレフィン用の押出成形機・射出成形機での成形時に触媒マスターバッチを添加して成形後、温水中または高温多湿環境で架橋処理を行います。
適用用途
• 給水・給湯用パイプ、床暖房用パイプ
• 電線被覆材(絶縁材料)
• 太陽電池封止材
Olefista™
Olefista™(オレフィスタ) は、三菱ケミカルの難燃性樹脂コンパウンドの名称です。各種樹脂をベースに難燃性を付与していますが、シラン架橋ポリオレフィンに難燃性を付与したQXシリーズがございます。耐熱性、耐油性、耐薬品性に優れた難燃性架橋樹脂コンパウンドです。
主な特徴
• ノンハロゲン系グレードとハロゲン系グレードをラインナップし、高い難燃性
• UL定格温度105℃~150℃に対応し、高温環境下での安定使用が可能
• 架橋化により、耐熱性、耐油性、耐薬品性が向上
成形方法
一般的なポリオレフィン用の押出成形機・射出成形機での成形時に触媒マスターバッチを添加して成形後、温水中または高温多湿環境で架橋処理を行います。
適用用途
• 電線被覆材(自動車用ケーブル、太陽光発電システム用ケーブル等)
• 電設資材
• スパッタチューブ
架橋性樹脂をお探しなら
三菱ケミカルでは、多様な架橋方式と機能性を備えた幅広い架橋性樹脂コンパウンドをご用意しております。耐熱性、耐クリープ性、ゴム弾性など、用途や要求特性に応じた最適な架橋性樹脂を提案いたしますので、架橋性樹脂の素材選定やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


