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接着性樹脂とは?三菱ケミカルの接着性樹脂を解説

 従来ポリエチレン(PE), ポリプロピレン(PP)をはじめとするポリオレフィン樹脂と極性樹脂や金属、ガラスとの接着は困難とされてきましたが、ポリオレフィン材料自体に接着機能を付与した接着性樹脂により、これらの成形と接着を一体化することができます。樹脂成形の工程で異種材間の強固な接着を実現することが可能となるため、塗布型接着剤と比べて生産効率や環境負荷を低減できます。

 この記事では食品包装、自動車部材、電池包装、化粧品容器など幅広い分野で採用されている三菱ケミカルの「Modic™」と「Linklon™」の接着メカニズムから使用例まで徹底解説します。

目次[非表示]

  1. 1.異種材料との接着でこんな課題や要望はありませんか?
  2. 2.接着性樹脂とは
  3. 3.三菱ケミカルの接着性樹脂ラインナップ
    1. 3.1.Modic™
    2. 3.2.Linklon™
  4. 4.接着方法
    1. 4.1.Modic™の接着方法
    2. 4.2.Linklon™の接着方法
  5. 5.接着性樹脂の使い方
    1. 5.1.極性樹脂との接着として(Modic™)
    2. 5.2.金属接着として(Modic™)
    3. 5.3.ガラス接着として(Linklon™)
  6. 6.異種材料との接着をご検討なら

異種材料との接着でこんな課題や要望はありませんか?

・ ポリオレフィン系樹脂(PE、PPなど)が極性樹脂(PA, EVOHなど)や、金属・ガラスと密着しにくいため、接合や多層成形の際、層間剥離が起きてしまう

・接着剤を使うと生産工程が複雑になりコストや環境負荷が増す

・接着剤が硬く、被着体への追従性に欠ける

接着性樹脂とは

三菱ケミカルの接着性樹脂は、主にポリオレフィンなどの非極性樹脂に酸やシラン変性基などの極性官能基をグラフトし、異種材料との化学的相互作用を発現させます。

• ポリオレフィンの機械物性・耐熱性を保持

• 極性樹脂や金属、ガラスなど、多彩な被着材に強固に接着

• 多層共押出や押出ラミネート・加熱加圧により接着可能で、接着剤の塗工工程を省略化

三菱ケミカルの接着性樹脂ラインナップ

Modic™

Modic™は、主にPE・PPをベースに極性官能基を導入した接着性樹脂シリーズです。化学的相互作用によりPA、EVOHの極性樹脂や金属と接着力を発現するグレード、粘接着作用により特定反応基を持たない(または量が少ない)PSやPETと接着力を発現するグレードなど多様なニーズに対して提案できる材料がございます。また、Modic™TPCは、三菱ケミカルがエラストマー設計技術と樹脂変成技術を駆使し、世界で初めて工業化に成功した変性ポリエステル系エラストマーです。ポリエステル樹脂、PC、PSに対し分子相溶する為、オレフィン系ベースよりも強固に接着し、極性樹脂とは化学的に接着します。高い耐熱性を有することも特徴です。

Linklon™

Linklon™は、主にPE・PPへシラン変性を施すことで、接着性や反応性等の機能性を付与した接着樹脂シリーズです。ガラス表面のシラノール基と反応し、他材料ではなし得ない極めて高いガラス接着性が得られます。屋外・湿潤環境下でも安定したガラス接着性を実現します。

接着方法

Modic™の接着方法

共押出による接着はもちろんの事、加熱加圧でも接着可能です。

接着剤の塗工を省くことができ、溶剤を使用しないで接着することができます。

*層構成、接着方法については一例です

*接着には特定の条件が必要な場合があります

Linklon™の接着方法

単層で成形後、ガラス等へ加熱・加圧する事により接着させます。

また、ガラスを金型へセットして射出成形で樹脂を一体化させるインサート成形も可能です。

接着剤の塗工を省くことができ、溶剤を使用しないで接着することができます。

*層構成、接着方法については一例です

*接着には特定の条件が必要な場合があります

接着性樹脂の使い方

極性樹脂との接着として(Modic™)

バリア性や強度発現が必要な多層フィルムやホース製品に使用できます。接着層として//部分にModic™を使用することで、接着性を発現します。

・生鮮食品用フィルム(PE//PA、PE//EVOH、PBT//PE)

・化粧品チューブ(LDPE//EVOH)

・薬品バリアボトル(HDPE//EVOH)

・米飯バリア容器、ゼリーカップ(PP//EVOH)

・給水給湯管、暖房管(PE//EVOH、PB//EVOH)

・自動車用クーラントホース(PP//PA12)

金属接着として(Modic™)

バッテリー周りの密着性や配管周りの防錆目的として使用いただけます。接着層として//部分にModic™を使用することで、接着性を発現します。

・タブリードフィルム(金属タブ//PP)

・バッテリーパウチ(Al//PP)

・温水暖房配管(Al//PE)

・埋設配管、(鉄//PE)

・レトルト食品パウチ、化粧品アルミチューブ(AL//PP、Al//PE)

*特殊な加工方法が必要な場合があります。

*金属の予備加熱が必要な場合があります。

*金属の種類、表面処理で接着に差異が生じます。  ○:AL、亜鉛メッキなど  △:SUS

ガラス接着として(Linklon™)

接着剤等を塗工する事なく、ガラスと樹脂を一体化した部材を作製する事ができます。

・太陽電池封止材(ガラス/Linklon™)

・ガラスとオレフィン系樹脂を複合化した工業製品等(ガラス/Linklon™)

・ガラスとオレフィン系樹脂を複合化したシート(ガラス/Linklon™)

異種材料との接着をご検討なら

接着性樹脂は、従来困難だった異種材料同士の一体成形と接着を可能にするだけでなく、接着塗装工程の簡略化にも貢献します。異種材料との接着でお困りのことがあれば、私たちにお問い合わせください。

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