
分散均一化で性能向上!Modic™で進化するリサイクル
リサイクル材の活用が進む一方で、樹脂同士の相性による性能低下は避けられない課題として残ります。そこで重要になるのが、異なる樹脂をうまく“なじませる”分散均一化技術です。Modic™ はその役割を担い、リサイクル材でも性能を維持・向上させるための有効なソリューション。本記事では、リサイクル材の課題とともに、Modic™ がどのように貢献できるのかをわかりやすく紹介します。
リサイクル材への期待と課題
循環型社会の実現に向けて、自動車・家電・食品包装業界ではマテリアルリサイクルと樹脂混合リサイクル材への関心が急速に高まっています。これは、従来の使い捨て型生産・消費システムから持続可能な資源循環システムへの転換を目指す重要な取り組みです。
樹脂混合リサイクルで最も大きな課題となるのが、異なる種類の樹脂同士の相溶性不足です。例えば、ポリオレフィン(PP、PE等)とポリアミド(PA)やバリア樹脂(EVOH)のような極性の異なる樹脂材料を混合しても、分子レベルでの相互作用が弱いため十分に混ざり合いません。この不適合性により、リサイクル樹脂の機械的強度低下、外観不良、熱安定性の劣化など、製品品質の大幅な低下を招くという課題があります。
Modic™の優れた分散機能
Modic™は、非極性ポリオレフィン(PE、PP等)やポリエステル共重合体にグラフト反応により極性基を導入した機能性樹脂です。この独特な分子構造により、「非極性/極性樹脂」や「樹脂/金属」という通常では化学的組成が異なるため接着しない材料を、Modic™を間に入れることで、接着させることが可能です。 このModic™のポリマー構造の中に相反する化学的性質がある特性を活かし、Modic™は樹脂の混合リサイクルの分散剤として適用されています。
Modic™を混合リサイクル材に数パーセント添加することで、以下の効果が得られます:
・界面張力の低減:分散している樹脂間の界面エネルギーを大幅に削減
・ドメインサイズの微細化・均一化:相分離構造を制御し、より均質な混合状態を実現
・相溶化促進:分子レベルでの相互作用を強化
これらの効果により、下のイメージ図のように、極性の異なる樹脂材料の界面にModic™が配置されることで、分散が安定する効果が得られます。

実際に、PAとPPのリサイクルを想定したモデル組成に対し、Modic™を数%添加し、フィルム形状に押出成形した、フィルムのモルフォロジーを電子顕微鏡で観察した結果を見てみましょう。
下の写真を見比べると、PP/PA樹脂の2成分系では、PPマトリックス中にPAが筋状にまばらに存在するのに対し、PP/PA/Modic™の3成分系ではPPマトリックス中にPA粒子が細かく均一に分散している様子がわかります。

・左:2成分系(PP/PA):PPマトリックス中にPAが筋状にまばらに分散
・右:3成分系(PP/PA/Modic™):PPマトリックス中にPA粒子が細かく均一に分散
左のような筋状の大きなドメインを有すると、一般的には成形体の物性が大きく損なわれます。そこにModic™を添加していくと、添加量の増加に伴い、微細で均一な分散構造が得られ、引張強度と衝撃強度などの大幅な向上が実現され、リサイクル材でありながらバージン材並みの耐衝撃性・引張り強度などの物性に近づけることができます。

樹脂混合リサイクル材の物性改善にModic™が効果的であることが、わかっていただけたかと思います。
より詳細な配合条件・評価データは以下からダウンロードいただけます。
適用事例
異種素材同士の多層の製品は様々な用途で採用されています。
Modic™はこれらの製品をリサイクルする際に、分散化剤としての効果が期待されます。
・生鮮食品用フィルム(PE/PA、PE/EVOH)
・化粧品チューブ(LDPE/EVOH)
・薬品バリアボトル(HDPE/EVOH)
・米飯バリア容器、ゼリーカップ(PP/EVOH)
・自動車用クーラントホース(PP/PA12)
多彩なラインナップ
適用したいリサイクル材の樹脂種類や成形方法に応じて、最適なベース樹脂とグレードの選択が必要となります。 詳しくは、下記よりお問い合わせください。


