
COPと熱融着できるZelas™! 輸液バッグでの使い方を徹底解説
COP樹脂は、低吸着・高透明性・高ガスバリア性といった優れた特性から、近年、医薬・診断分野での広く用いられています。一方で「熱融着しにくい」「他材料とくっつかない」という接合方法や他材料との組み合わせに制限があり、製品開発のネックとなる場合があります。そこで、三菱ケミカルの Zelas™ と組み合わせて使用することで、その課題を解決することができます。本記事では、COPの基本から、輸液バッグ・ポート・マイクロ流路等におけるZelas™とCOPの具体的な使い方まで、わかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.COPの特徴
- 1.1.環状ポリオレフィンとその特徴
- 1.2.COPが活躍する用途
- 1.3.Zelas™CPの開発背景
- 2.Zelas™と組み合わせれば解決!
- 2.1.輸液バッグ中間層での使い方
- 2.2.輸液バッグポートでの使い方
- 3.COPでのお困りごとがあれば
COPの特徴
環状ポリオレフィンとその特徴
COP(Cyclic Olefin Polymer/環状ポリオレフィン)は、環状オレフィンモノマーを主成分とした非晶性樹脂で、以下のような特長から医薬・診断用途で評価され、医薬品の品質や安定性を向上させる「高機能プラスチック」として、ますます重要なポジションを占めています。
・高透明性
ガラスのような透明性を持ち、内容物の視認性が高い。
・低吸着性
タンパク質・ペプチド・抗体医薬などの吸着が少なく、薬液濃度の低下を抑制できる。
・優れた寸法安定性・剛性
Tg(ガラス転移温度)が高く、変形が少ないため、精密形状やマイクロ構造に適する。
・良好な薬品耐性
多くの医薬品・溶媒に対して安定で、ガラス容器の代替候補としても注目されている。
・ガスバリア性
汎用ポリオレフィン(PP、PE)と比較しガスバリア性が高く、薬液の蒸散や変質を抑制できる。
COPが活躍する用途
COPが広く採用されている代表的な用途は、次の3分野です。
1)バイアル瓶・プレフィルドシリンジ
破損リスク低減・微粒子発生抑制・溶出物低減を狙ったガラス代替として、特にバイオ医薬品や高価値薬剤において、内容物保護と取扱い性を両立できる容器材料として評価されています。
2)輸液バッグ最内層
有効成分の吸着を抑えるため、最内層のみCOPとし、外層にはPPやPEなどを組み合わせた「低吸着バッグ」「高機能輸液バッグ」として、抗がん剤・高価薬剤・栄養輸液などでの採用が期待されています。
3)マイクロ流体チップ
高透明性と寸法安定性を活かし、マイクロ流路基板材料として広く用いられています。分析・診断チップ、POCTデバイス、細胞・血液解析チップなどで、光学測定性と微細加工性に優れた素材として選択されています。
Zelas™CPの開発背景
そんな優れたCOPですが、加工面、特に熱融着性に関して現場で避けて通れない悩みの種となっている、との声が市場から寄せられています
1)COP同士の熱融着が難しい
Tg以下の温度ではほとんど接合せず、Tg以上まで加熱しても条件によっては十分な接合強度が得られにくい場合がある。
2)COPと異種材料(PP、PCなど)との熱融着が難しい
表面自由エネルギーの差が大きく、界面での密着性が得られにくいことがある。
そのため、従来は以下のようなプロセス対応がとられてきました。
◦プラズマ処理・コロナ処理などの表面改質
◦専用接着剤の塗布によるラミネート・貼り合わせ
しかしながらこれらの処理は工程を複雑化するだけでなく、表面改質プロセスでは設備投資・工程管理コストの増大、溶剤系接着剤を用いる場合は、残留溶剤や溶出物への懸念もつきまといます。特に医薬・診断用途では安全性要求が高いため、接着剤をできるだけ使いたくないというニーズも強く、 “熱融着でシンプルにくっつけたい”という市場要望が存在していました。
Zelas™と組み合わせれば解決!
そんな市場要望を受けて開発してきたのが、三菱ケミカルの Zelas™ です。お使いのCOPはそのまま、接着層や相手材としてZelas™を選択することで、多層押出成形や熱融着のみで強固な接合が可能になります。
代表的な使い方は以下の3つですが、本ページでは、1.2.の輸液バッグをご紹介します。
1.輸液バッグ中間層
2.輸液バッグポート材
3.マイクロ流路の蓋材
輸液バッグ中間層での使い方

タンパク質・ペプチド・抗体医薬などの吸着が少ないCOPは、低吸着輸液バッグの最内層に使用されます。COP最内層バッグを試したいが、構造設計と外層との接着がハードルという場合、Zelas™ MC719を中間層に使用することで解決できます。
・多層押出のみでCOP層とポリオレフィン層を強固に一体化できる。
・バッグ全体の柔軟性を損なわない。
輸液バッグポートでの使い方

COP最内層バッグでは、「バッグ本体」と同様に、「ポート」とCOPフィルムとの接合も大きな課題となります。Zelas™は、軟質ポート材/硬質ポート材の双方で、COPフィルムとの熱融着を可能にします。
• 軟質ポート(Zelas™ MC719)
o 柔軟性が求められるドロップポート/廃液ポート等に好適
o バッグ本体との柔軟性がマッチしやすい
o AC滅菌に対応
• 硬質ポート(Zelas™ CPシリーズ)
o 硬質接続部/ピアッシング部など、剛性が必要な用途に好適
o 高い透明性を維持
o γ線滅菌に対応
COPでのお困りごとがあれば
COPは、医薬・診断デバイスの高機能化を支えるキーマテリアルである一方、その熱融着の難しさが量産設計・プロセス設計における大きなボトルネックになりがちです。三菱ケミカルのZelas™は、COPと組み合わせることで多層押出成形や熱融着のみで強固な接合を実現できるソリューションをご提供できます。「COP同士やCOPとPP、PEの接着で困っている」「低吸着バッグ・マイクロ流路にCOPを使いたいが、シール設計に不安がある」といった課題があれば、ぜひZelas™の活用をご検討ください。COPのポテンシャルを最大限に引き出す「COP × Zelas™」という新たな組み合わせで、次世代の医薬・診断デバイス開発を加速させませんか?


