
難燃性樹脂Olefista™を徹底解説
建築材料、電子機器、自動車部品、電線・ケーブルなど、日々の生活に不可欠な製品の多くには火災リスク対策が求められています。汎用のポリオレフィン樹脂は本来燃えやすく、一般的な難燃剤では成形性や機械物性の低下が伴うため、難燃性と樹脂性能の両立には高い技術力が必要です。本記事では、三菱ケミカルの難燃性樹脂Olefista™の特徴から、用途別の選定基準まで、難燃性樹脂についてわかりやすく解説します。
難燃性樹脂とは
難燃性樹脂はプラスチックが直に炎にさらされたときに燃焼に対して抵抗する特性を持ち、材料内部の化学反応や物理的なメカニズムによって実現されています。本来可燃性である樹脂に難燃剤を配合することで製造される難燃グレードは、難燃剤のタイプによってノンハロゲン系とハロゲン系に大別されます。難燃性樹脂は、建築材料、電子機器、電線・ケーブル、自動車部品など、火災リスクの高い環境で広く利用されており、安全性の向上や法規制の遵守に貢献しています。
三菱ケミカルの難燃性樹脂Olefista™
三菱ケミカルの難燃性樹脂コンパウンドOlefista™(オレフィスタ)は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系熱可塑性樹脂をベースに、難燃剤を配合した高性能な難燃性樹脂コンパウンドです。ポリエチレンのような汎用ポリオレフィン樹脂は本来燃えやすく難燃化が難しい材料ですが、三菱ケミカルは高度な配合技術により、機械物性や加工性を維持しながら高い難燃性を実現しています。Olefista™は、用途や求められる性能に応じて、ノンハロゲンタイプ、ハロゲンタイプ、高耐熱タイプの3つの主要なシリーズで構成しています。
ノンハロゲンタイプ
ノンハロゲン系難燃剤は、主にリン系化合物や無機系の金属水酸化物などで構成され、燃焼時に有毒ガスや腐食性ガスの発生が少なく、発煙濃度も低いという利点があります。QU/QX 1000, 2000, 3000シリーズとして展開しており、配合組成にハロゲン化合物を使用していない難燃性樹脂コンパウンド(HFFR)です。難燃剤以外の添加剤にも、ハロゲン化合物を含みません。
ノンハロゲンタイプの選定基準
ノンハロゲンタイプは、以下のような用途に適しています:
• 閉鎖空間での使用:地下施設、トンネル、船舶、航空機など、避難経路が限定される環境
• 環境配慮が求められる用途:環境規制の厳しい地域、グリーン調達を要求する顧客
• 有毒ガス発生を避ける必要がある場所:病院、学校、保育施設などの公共施設
• 低発煙性が必須の用途:データセンター、サーバールーム、映画館など、視界確保が重要な環境
ハロゲンタイプ
ハロゲン系難燃剤は、臭素や塩素を含有する化合物が燃焼時にガス化し、活性な酸素をトラップすることで消火作用を示します。ノンハロゲン系より難燃性に優れており、特に酸化アンチモンとの併用で最高レベルの難燃性を実現します。QU/QX 4000シリーズとして展開しており、配合組成にハロゲン化合物を使用した難燃性樹脂コンパウンドです。
ハロゲンタイプの選定基準
ハロゲンタイプは、以下のような用途に適しています。
• 最高水準の難燃性が必要な用途:UL94 V-0、V-1などの厳格な難燃基準が要求される場合
• 高耐熱性が必須の環境:エンジンルーム、工業設備の高温環境
• 低発煙性が不要な屋外用途:屋外配線、電力線など、閉鎖空間でない用途
• コスト最適化が必要な大量生産用途:難燃性と価格のバランスを重視する場合
高耐熱タイプ
高耐熱タイプのQXシリーズは、三菱ケミカルのシラン架橋ポリオレフィンの変性技術と難燃剤コンパウンド技術を融合して開発された、耐熱性、耐油性、耐薬品性に優れた難燃性架橋樹脂コンパウンドです。過酷な環境や長期信頼性が求められる鉄道車両、太陽光発電(PV)システム、自動車配線などに適しています。
難燃性樹脂をお探しなら
三菱ケミカルのOlefista™は、建築材料、電子機器、電線・ケーブル、自動車部品など、火災リスクの高い環境で広く利用されており、安全性の向上や法規制の遵守に貢献しています。長年培った配合技術と架橋技術により、難燃性と機械物性、加工性を高次元でバランスさせた製品開発を実現し、特殊な用途に対するカスタマイズ対応も可能です。難燃性樹脂をお探しの際は、以下の問い合わせからご連絡ください。


