
シェアリングと衛生対策材料
シェアリングエコノミーの拡大により、不特定多数が利用する製品の衛生対策がこれまで以上に重要になっています。カーシェアや介護用品、スポーツ用品など、人が触れる部分には抗菌・抗ウイルス・防カビ性能を備えた素材が求められます。本記事では、これらの課題に対する三菱ケミカルのPVC・TPE材料の取り組みをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.シェアリングエコノミー
- 1.1. カーシェア
- 1.2.介護用品・スポーツ用品レンタル
- 2.グリップ材料と衛生対策
- 2.1.人が触る部品とエラストマー材
- 2.2.抗菌、抗ウイルス、防カビの違い
- 3.三菱ケミカルの取り組み
- 3.1.PVC・TPE材での衛生対策
- 3.2.浴室手すりにおける衛生対策材料の採用事例
- 3.3.シェアリングを素材から支える
シェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーは、モノやサービスを「所有」から「共有」へと移行させる新しい経済モデルです。不特定多数が利用するため衛生対策の重要性が高まっています。
カーシェア
カーシェアではハンドルやシフトノブなど手が多く触れる部分の衛生対策が重要であり、抗菌性や耐アルコール性を備えた素材のニーズが増えています。
介護用品・スポーツ用品レンタル
歩行器や杖などの介護用品やスポーツ用品などもレンタル化が進む中、グリップ部には抗菌・抗ウイルス・防カビといった衛生性能が求められています。
グリップ材料と衛生対策
人が触る部品とエラストマー材
PVCや熱可塑性エラストマー(TPE)はソフトな触感や滑りにくい特徴を持ち、人の手が触れるグリップ部に多く用いられます。消毒に必要な耐アルコール性に優れるだけでなく、衛生性能を付与することが可能な素材です。
エラストマー種類 | グレード | 重量変化率 | 体積変化率 |
ポリエステル系熱可塑性エラストマー | A1600N | −3% | −3% |
スチレン系熱可塑性エラストマー | SJ8300C | −4% | −4% |
オレフィン系熱可塑性エラストマー | 3855N | −2% | −2% |
試験片寸法40 mm × 13 mm × 厚さ2 mmの試験片をエタノールに浸漬し、室温で1週間保持しました。
浸漬前後の重量および体積を測定し、それぞれの変化率を評価しました。
いずれの熱可塑性エラストマーでも重量・体積はわずかに減少しました。変化率は、ポリエステル系TPEが重量・体積ともに−3%、スチレン系TPEがともに−4%、オレフィン系TPEがともに−2%でした。
3材料の中では、オレフィン系TPEが最も変化が小さく、今回の試験条件ではエタノール浸漬による影響が比較的抑えられていました。一方、スチレン系TPEは重量・体積ともに−4%となり、3材料の中では変化が最も大きい結果となりました。ただし、いずれも数%程度の変化にとどまっており、室温・1週間のエタノール浸漬条件では大きな変化は確認されませんでした。

抗菌、抗ウイルス、防カビの違い
衛生性と一口に言っても様々な種類が存在します。下記は代表的な衛生性とその違いです。
抗菌:菌の増殖を抑える
抗ウイルス:ウイルス活性を低減する
防カビ:カビの発生や増殖を防ぐ

三菱ケミカルの取り組み
PVC・TPE材での衛生対策
三菱ケミカルでは、配合ノウハウにより抗菌・抗ウイルス・防カビ性能を付与しつつ、触感・耐久性を両立した素材を提供しています。
下記は抗ウイルス性を付与したPVCコンパウンド材料での評価結果の一例です。
抗ウイルス剤を添加した材料について、A型インフルエンザウイルス(H3N2)に対する抗ウイルス性能を評価しました。試験はISO 21702:2019に準拠して実施し、試験片表面に接触させたウイルスの感染価を、ブランク試料と比較しました。
その結果、ブランクに対し、抗ウイルス剤添加品ではウィルス濃度が低下し、抗ウイルス活性値は3.3であり、ブランクと比較してウイルス感染価の低減が確認されました。
試料 | ウイルス感染価 | 抗ウイルス活性値 |
|---|---|---|
ブランク | 50000 | ― |
抗ウイルス剤添加品 | 25 | 3.3 |
※上記は特定条件下で得られた代表値であり、保証値ではありません。
項目 | 内容 |
|---|---|
試験方法 | ISO 21702:2019に準拠して評価 |
試験ウイルス | A型インフルエンザウイルス(H3N2)、ATCC VR-1679 |
宿主細胞 | MDCK細胞(イヌ腎臓由来細胞) |
ウイルス感染価の測定方法 | プラーク法 |
試験片の洗浄・前処理 | UV照射10分間 |
被覆フィルム | PEフィルム(40 mm × 40 mm) |
ウイルス接種液量 | 0.4 mL |
抗ウイルス剤添加品について、ISO 21702:2019に準拠し、A型インフルエンザウイルス(H3N2)を用いた抗ウイルス性能評価を実施しました。その結果、ブランクと比較してウイルス感染価の低減が確認され、抗ウイルス活性値は3.3でした。
※本結果は特定の試験条件下で得られた代表値であり、すべてのウイルスに対する効果、実使用環境での効果、感染予防または疾病予防効果を保証するものではありません。
浴室手すりにおける衛生対策材料の採用事例
衛生対策材料の採用事例の一つに浴室手すりがあります。近年は高齢化に伴い浴室手すりの需要が増加する一方、湿度の高い環境での衛生・防カビ対策が課題となります。衛生性を付与した三菱ケミカルのPVC・TPE素材は、これら課題を解決する材料として浴室手すりメーカーに採用されています。

シェアリングを素材から支える
シェアリング市場は今後も拡大が見込まれ、衛生対策需要も増加するとみられます。三菱ケミカルは素材開発の立場からシェアリングエコノミーを支えたいと考えています。材料の衛生対策についてお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。


