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幅広い極性樹脂に融着するポリエステル系エラストマー

電子機器や家電のグリップなどで求められる「触り心地」とデザイン性を両立するため、PC・ABS・PBT・PAなどの硬質樹脂とエラストマーを接着剤なしで一体成形するニーズが高まっています。本記事では、ポリエステル系エラストマー「Tefabloc™ TPC」の極性樹脂との熱融着メカニズムを中心に、適合グレードについて解説します。

硬質樹脂との接着が求められる背景

 電子機器や一般消費財の開発現場では、「PCやABS、PBT、POM、PAなどの硬質なエンジニアリングプラスチック樹脂に、やわらかいエラストマーをしっかり一体化させたい」というニーズが高まっています。

例えば、電子機器、カメラのグリップ部、ゲームコントローラの握り部、リモコンの背面、PC周辺機器(マウス、キーボードパームレスト)、家電ハンドルなど、握りやすさや滑りにくさといった「触り心地」は製品価値を左右する重要な要素になっています。

しかし従来は、硬質樹脂とエラストマーを組み合わせるために、接着剤やプラズマ、コロナ処理などによる表面改質や、機械的なはめ込みなどが必要でした。これらの方法は、工程数の増加やコストアップ、残留溶剤・溶出物リスク、組立バラツキなど、多くの課題を抱えています。特に電子機器では、外観品質や触感の安定性、表面処理によるコスト増を避けたいというニーズが強く、接着剤や複雑な組立に頼らない一体成形が求められています。

そこで注目されるのが、2色成形(2K成形)による「硬質樹脂+エラストマー」の一体成形であり、そのための材料として開発されたのが三菱ケミカルのポリエステル系熱可塑性エラストマー「Tefabloc™ TPC」です。

ポリエステル系エラストマーの特徴

Tefabloc™ TPCは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)に分類される材料で、ハードセグメント(ポリエステル)とソフトセグメント(ポリエーテル)が交互につながったブロック共重合体です。様々な特徴がありますが、今回ここで述べるのは、極性樹脂との熱融着に優れる点です。

PC、ABS、PA、PBTやPOMなどの極性樹脂、エンジニアリングプラスチックとの溶融接着性が高いことが最大の特徴で、電子機器筐体やグリップ部等の2色成形において大きなアドバンテージとなります。

硬質樹脂と熱融着できる理由

2色成形(2K成形)の基本的な流れは、以下の通りです。

① 1次成形:PCやPC/ABSなどの硬質樹脂を成形

② 型開き→金型の反転・スライドで、1次成形品を2次側キャビティへ移動

③ 2次成形:溶融したTefabloc™ TPCを射出し、1次成形品の表面上を流動させる

このとき、Tefabloc™ TPCと硬質樹脂の界面では次のような現象が起きています。

① 溶融した高温のTefabloc™ TPCが、硬質樹脂表面を濡らしながら流れる

② 熱と圧力により、硬質樹脂の表面近傍分子がわずかに流動化

③ Tefabloc™ TPCの分子鎖と硬質樹脂側分子鎖が相互に拡散・絡み合う

④ 冷却されることで、この分子的な絡み合いが固定され、強固な熱融着界面が形成される

接着剤による「界面に別の材料を挟む接合」と異なり、樹脂同士が直接結合した“溶着”状態になるため、シール性・耐久性・外観信頼性に優れた接合が得られます。

溶着可能な硬質樹脂範囲

Tefabloc™ TPCは、以下のような幅広い硬質樹脂との熱融着が可能です。

非晶性樹脂:PC、ABS、AES、AS、GPPS、HIPS、PMMA、PPE/PS など

結晶性樹脂:PBT、PET、PET-G、PA6、PA66、PA12、PA-MXD など

生分解性樹脂:PLA、PBSL 等

セルロース系樹脂:セルロースプロオネート、セルロースアセテート 等

ガラス繊維強化グレードや難燃グレードでは乾燥・予熱条件の最適化が必要ですが、電子機器筐体や内部構造部材で使われる各種樹脂との組み合わせが検討可能です。

対応グレード紹介

各種硬質樹脂と接着試験で接着が確認されたグレードは赤で表記されています。

・PCやABSについては、多くのグレードで接着性が確認されています。

・PMMAは多くのTPCと接着性が良好です。記載以外のグレードも融着可能です。

・PA融着はA1610N A1710Nが好適に用いられます。

・PBTやPOMは開発品でEPO-18 EPO-20が適しています。

詳細データおよびサンプルについては下記より、お気軽にお問い合わせください。

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