
Modic™で進化するバイオマスプラスチック
環境配慮型素材として注目されるバイオマス複合材ですが、樹脂と天然由来フィラーを均一に分散させることは依然として大きな課題です。そこで重要な役割を果たすのが、相溶化技術を担う Modic™ です。本記事では、バイオマスフィラー分散の難しさと、その解決に寄与する Modic™ の可能性について解説します。
バイオマスプラスチック市場の現状と課題
環境負荷低減への社会的要請はますます高まっています。サステナビリティ経営が企業価値を左右する時代において、バイオマス原料の活用は単なるトレンドではなく、経営戦略の中核となりました。特に、木粉やセルロース、貝殻、卵殻といった天然廃材をプラスチックに混合したバイオマス複合材は、化石資源削減とサーキュラーエコノミー(CE)実現の切り札として、自動車部品、家電筐体、建材、日用雑貨など 多くの産業で活用が広がっています。しかし、バイオマス複合材にも大きな課題があります。
それが 分散不均一 これは、複合素材でよく起こる課題です。
なぜ「分散不良」は起こるのでしょうか?
多くの樹脂は疎水性(水をはじく)という水になじまない性質を持っています。一方で、バイオマスフィラーは親水性(水になじむ)という、相反する性質を持ちます。
そのため単純に混ぜるだけでは、樹脂同士、バイオマスフィラー同士で、同質の素材が集まるため、樹脂中にバイオマスフィラーが均一に分散しにくい状態にあります。この傾向はフィラーの添加量が増えるほどフィラー同士が凝集しやすくなり、高いバイオマス比率を達成しようとすると、強度・衝撃強度が大幅に低下してしまいます。
「バイオマス材料を製品に搭載したいが、性能面での課題が残るため商品化に躊躇する」
このジレンマが、バイオマス複合材を採用する最大障壁となっています。
このような課題を根本的に解決する一助となりえるのが、三菱ケミカルのModic™の優れた分散相溶化剤としての機能です。
分散安定化で性能向上!

Modic™は、樹脂とバイオマスフィラーの「仲介役」として機能します。
Modic ™ は、一つの分子構造の中に、樹脂(ポリオレフィン)と親和性を持つ部分と、バイオマスフィラーと親和性を持つ極性部分の両方を含有しており、この極性基がバイオマス成分の水酸基やカルボニル基と化学的相互作用を形成します。この効果により、フィラーが樹脂の中で安定して分散することができます。
またModic™は両方の性質を持っているため、Modic™を介して(まさしく仲介役として)フィラーと樹脂の密着性も向上するので、材料強度の改善が期待できます。
ケーススタディ#1:PE/木粉複合体での改善
実際にModic™を配合した際の改質効果について見てみましょう。
ベース樹脂PE(ポリエチレン)30%、木粉70wt%に対して、Modic™を0wt%と2wt%でそれぞれ試験した結果を下の表に示します。
わずかModic™2%の添加により、下表のとおり、曲げ弾性率、曲げ強度、衝撃強度が改善されました。また吸水率も約18%から7%へと減少 しています。

コスト増加を最小限に抑えながら、物性を飛躍的に向上させることができるというModic™の優れた可能性がこの結果から示されています。
吸水率が低下することで、配合材料の吸水による膨潤が抑制され、経年での形状変化が最小化されることが期待されます。これは、自動車の内装部品、建材や家電筐体など 、長期の使用期間を想定した製品開発で極めて重要な特性です。
ケーススタディ#2:様々なバイオマスフィラーでの実例
木粉/セルロース、貝殻/卵殻/ヤシ殻、ガラス繊維など でModic™の分散効果を確認しています。下の写真の通り、バイオマスフィラーの種類によって樹脂の風合いを変化させ、製品のデザインやコンセプトの選択肢が広がります。

また、極性樹脂の分散向上にもModic™は有効であり、異種樹脂同士の混合リサイクルにも分散、相溶化剤として有効です
フィラーと樹脂の複合材での困ったときは
バイオマス樹脂を使いたいが、こんなお悩みはありませんか?
• 高いバイオマス配合率を実現しながら、現在の製品と同等程度の強度・衝撃強度を維持したいが、うまくいかない
• 複合材やリサイクル材の分散制御が不十分で、物性のばらつきが大きい
• Modic™を活用した性能向上に興味があるが、選択している樹脂とフィラーに最適なグレードの選択肢が分からない
Modic™開発チームは、これらの課題に対して、科学的根拠に基づいた、実装可能な解決策を提示したいと思っています。あなたの具体的なアプリケーション(自動車部品、家電筐体、日用雑貨、建材など)に対応した最適なModic™グレードを提案いたします。
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